なでしこジャパン、東京五輪への切符を掴むのは?必要なのは”違い”を生み出せる選手

 なでしこジャパンは、10月6日(日)に静岡・IAIスタジアム日本平でFIFAランク7位のカナダ女子代表と対戦する。カナダ女子代表と対戦した後、なでしこジャパンは12月にEAFF E-1サッカー選手権に参加する。カナダ代表との一戦は、このE-1選手権に向けての選考と来年の東京五輪に向けた強化という位置付けになるだろう。ワールドカップを目指していたなでしこジャパンにとって、ワールドカップ敗戦後初の対外試合は、高倉麻子監督が言う「再スタート」となる。だが、東京五輪まで1年もない、代表で集まれる機会が少ない中で再スタートなら、もっと違う選手を入れても良いのではないか?もちろん、東京五輪まで時間がない中で、新しい選手を使うのもリスクがある。ワールドカップのメンバーをベースに考えて、誰を選ぶべきなのか考えたい。

初招集の高橋はなはFWか、DFか?東京五輪とU-20W杯のどちらに

今回カナダ戦のメンバーに選ばれた選手の中で、初招集は浦和レッズレディースに所属するDF高橋はな、追加招集の清家貴子と栗島朱里。高橋は、昨年行われたFIFA U-20女子ワールドカップ2018で全試合に、同僚DF南萌華とコンビでCBとして出場し、初優勝に貢献した。所属する浦和では、FWでの起用が多く、吉良知夏と菅澤優衣香の控えに甘んじている。だが、22日に行われたベレーザとの天王山で決めた2得点は圧巻だった。2点目のヘディングでのゴールは、後ろからの難しいボールを走りながら合わせた。日本には中々いないシュートセンスの光るFWかもしれない。高橋は、吉良と菅澤どころか日本代表攻撃陣のポジションすら脅かす存在になるだろう。高倉監督がどこで起用するのか注目だ。

まだ19歳の高橋は、来年ナイジェリアで開催されるU-20女子ワールドカップ2020の出場資格があり、ヤングなでしこの主力として期待がかかる。ただ、高橋がここでステップアップし、なでしこジャパンの主力に食い込むと、U-20女子ワールドカップへの出場は、日程的にも厳しい。U-20女子ワールドカップは、7月3日から22日までで、東京五輪は7月22日から開催される。

今回選出されたDFのうち、高橋を含め6人がCBでプレーできる。高倉監督が土光真代を招集したのを考えると、高橋はCBでの起用ではなく、FWでの起用が考えられる。フィジカルのある高橋とコンビを組むのは、同僚の菅澤も良いが、タイプを考えると、岩渕真奈や小林里歌子か、田中美南だろう。高橋を起用する場合、誰とコンビを組ませるのかも注目だ。

 

課題のサイドバック、清家貴子がダークホースになるか?

GKでの東京五輪当確は、安定感抜群の山下杏也加とセービングやキャッチングに定評のある池田咲紀子だろう。今回選出されている平尾知佳に加え、山根恵里奈と斉藤彩佳が3つ目の席を争うと見られる。今回は、平尾の追加招集で武仲麗依が選出され、割って入れるか注目である。

DFでは、SBとCBをこなすベテランDF鮫島彩、リヨンでプレーする熊谷紗希、高倉チルドレンと言っても良い清水梨紗は今回のメンバーでは当確。熊谷を中心に考えると、今回は招集されていないが、対人に強い市瀬菜々も当確に近い。その市瀬と争うのは南が筆頭で、次に三宅史織、土光真代がくるだろう。ワールドカップ前のアメリカ遠征で良い動きを見せたノジマステラ神奈川相模原のDF國武愛美もフィード力があり、対人にも強いことから選出されてもおかしくない。

清水と鮫島以外のSB争いでは、今回選出された宮川麻都、ノジマステラの大賀理紗子、ベテランの有吉佐織が中心になるだろう。さらには阪口萌乃もサイドバック経験者だ。個人的には、最近調子の良い浦和でサイドバックでプレーする佐々木繭を呼んでも面白いと思うが、もう少し経験が必要だろう。また、追加招集で清家貴子が初招集された。清家もユーティリティー性のある選手で、最近ではサイドバックをやっているが、中盤や前でもプレーできる。なでしこジャパンの課題であるサイドバックの強化に繋がることを期待したい。なでしこジャパンの課題はサイドの守備。ワールドカップでは、サイドを狙われた。サイドの守備に定評のある選手が出てきて欲しいところではあるが…。鮫島をサイドバックとして考えると、ウィークポイントだけに清水と鮫島以外の選手では、どの選手にも可能性はある。今後もサイドバックの争いが熾烈となりそうだ。

杉田妃和と三浦成美は固定…。期待はサイドのスペシャリスト!

今回のメンバーで当確のMFは、高倉チルドレンの長谷川唯、テクニックのある中島依美、ワールドカップ前から頭角を現した杉田妃和、キープ力のある三浦成美、ユーティリティ性のある籾木結花だろう。三浦と杉田がボランチで主力と考え、ここに割って入る可能性があるのは、今回選出された松原有沙であるが、今回の代表が東京五輪に向けての試験と位置付けられる。さらに危険察知能力があり、相手の攻撃の芽を摘める宇津木瑠美や、ドイツでプレーしキックに定評のある猶本光も捨てがたい。また2部ではあるが、ちふれASエルフェン埼玉に今季加入したU-20ワールドカップで10番を背負った長野風花に期待したい。クラブで出場機会を重ねられれば、代表も狙える。長野は中盤の底でゲームを作り、決定的な仕事もできる。今の代表にはいないタイプで、違いを生み出せる選手であることは間違いない。まずは、東京五輪までにクラブでのレギュラー奪取が先だ。長野はまだ20歳と若い。まだ先があるため、今回の東京五輪で呼ぶよりも次のワールドカップや4年後に中心選手になってほしい。海外に目を向けると、ウエスカでプレーする田中陽子もポテンシャルがあり、違いを生み出せるはず。テクニックがありパスセンスのある彼女は、猶本と争える存在である。パスサッカーを得意とするなでしこのサッカーにも合う。ただ、ノジマステラ時代はボールロストが目立った。スペインでそこを改善できれば、即戦力としてなでしこジャパンに選出される日も近いはずだ。

サイドハーフは岩渕や籾木、小林や横山久美などもプレーできるため、空いている席は一つだと仮定する。FWもできる選手ではなく、サイドのスペシャリストを1人呼びたい。日テレ・ベレーザの宮澤ひなたが適任だろう。宮澤はU-20ワールドカップで見せたようなドリブルと、男子顔負けのミドルシュートが武器だ。強いミドルが打てる選手は、女子サッカーでは重宝される。なでしこの中で魅力的な武器を持っていると言っても過言ではない。宮澤の台頭は、サイドハーフのできるFWにとっても脅威だ。さらに、栗島朱里の追加招集は明るい。サイドバックもこなせるサイドのスペシャリストに近いと言っても過言ではない。ドリブルやパスで魅せる派手さはないかもしれないが、安定感はある。的確な判断で正確なパスが出せる彼女は、滑り込みで東京五輪への切符を掴むかもしれない。

 

豊富なFW陣、田中美南の復帰に期待…。京川舞の台頭はあるか?

FW陣は豊富なため、高倉監督の悩みの種である。ワールドカップや、なでしこリーグでの活躍を見ると、菅澤は当確。高さがあるFWは、日本にとっては貴重だ。なでしこで菅澤の相方を務める岩渕も当確だろう。その他の選手は、ほぼ平行線。今後の活躍次第で序列が上がる可能性もあるし、それ故にまだ呼ばれていない選手の下克上も十分にある。裏への抜け出しが得意で得点力のある田中や小林は、得点が欲しい時間帯でのカードとして、東京五輪にも呼んで欲しい。今回呼ばれてるメンバーの序列で言うと、菅澤と岩渕、田中と小林という序列になる。ただ、もう1人違いを生み出せる選手が欲しい。なでしこジャパンの将来を考えると、遠藤、宝田、植木といった若手を呼びたいが、メダルを狙うなら経験豊富な横山をジョーカーとして置きたい。昨年行われたアジアカップでは、準決勝と決勝でいずれも途中出場ながら2試合で3得点を決め、日本をワールドカップフランス大会へと導いた。足の長い海外DFの間を切り裂き、強烈なシュートが打てる横山は、遠藤、宝田、植木よりも序列が上でも良さそうだが、高倉監督はカナダ戦には招集しなかった。

前述した選手以外でなでしこジャパンに選んでほしいのは、INAC神戸レオネッサのFW京川舞。昨季のリーグ戦では、チーム得点王タイとなる6得点を記録した。サイドから良いボールが来れば、面白いように決めてくれる。今季は途中出場が多いが、しっかり結果は出している。裏へのスピードとワンタッチシュートが得意な京川は、小林のポジションを脅かす存在になれるはず。FWの競争を促進させるためにも、増矢理花とともに、今のなでしこジャパンのFWに食い込んでほしい。

組織力があり、パスサッカーが得意ななでしこジャパンは、選手の組み合わせ次第で結果が変わってくると言える。高倉監督は、選手間の連携やバランスを見ながら、選考しなくてはならない。それ故に、元々の戦力をベースにチームを作っていかなければいけないが、使ってみないと実際に連携やバランスが取れるかどうかわからない。違うチームでもワールドカップ優勝を果たした時の岩清水梓と熊谷のように良い化学反応が起きることもある。そういった意味では、時間がない中でも、もう少し選手を試しても良いだろう。東京五輪まで時間がないが、今後なでしこを優勝に導けるようなシンデレラガールは現れるのだろうか。誰が、東京五輪への切符を掴み取るのだろうか。まずは、カナダ戦に注目したい。

カナダ戦のメンバー

GK

池田 咲紀子(浦和レッズレディース)

山下 杏也加(日テレ・ベレーザ)

平尾 知佳(アルビレックス新潟レディース)※負傷により離脱

DF

鮫島 彩(INAC神戸レオネッサ)※負傷により離脱

熊谷 紗希(オリンピック・リヨン/フランス)

三宅 史織(INAC神戸レオネッサ)

土光 真代(日テレ・ベレーザ)

清水 梨紗(日テレ・ベレーザ)

宮川 麻都(日テレ・ベレーザ)

南 萌華(浦和レッズレディース)

高橋 はな(浦和レッズレディース)

MF

中島 依美(INAC神戸レオネッサ)

松原 有沙(ノジマステラ神奈川相模原)

籾木 結花(日テレ・ベレーザ)

長谷川 唯(日テレ・ベレーザ)

杉田 妃和(INAC神戸レオネッサ)

三浦 成美(日テレ・ベレーザ)

宮澤 ひなた(日テレ・ベレーザ)

FW

菅澤 優衣香(浦和レッズレディース)

岩渕 真奈(INAC神戸レオネッサ)

田中 美南(日テレ・ベレーザ)

小林 里歌子(日テレ・ベレーザ)

宝田 沙織(セレッソ大阪堺レディース)

遠藤 純(日テレ・ベレーザ)

追加招集

清家貴子(浦和レッズレディース)

武仲麗依(INAC神戸レオネッサ)

栗島朱里(浦和レッズレディース)

 

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